難病と就労の両立は可能?当事者・人事・支援者の本音【RDDおしごと2024座談会】

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難病を抱えながら働くことは、想像以上に困難を伴います。治療や通院のスケジュール調整、予測不能な体調の変化、そして社会からの理解不足など、多くの壁が立ちはだかります。働きたくても働けない、あるいは働き続けることに不安を抱えている難病当事者の方々は少なくありません。

RDDおしごと2024座談会では、そんな難病当事者、企業の人事担当者、そして就労支援サービスの提供者が一堂に会し、治療と就労の両立支援の最前線について語り合いました。当事者のリアルな声、企業側の視点、そして最新の支援サービスの情報など、この記事を読むことで、難病と就労に関する様々な知見を得ることができるでしょう。

目次

座談会参加者紹介

今回の座談会には、以下の5名の方々にご参加いただきました。

  • Yさん: 重症筋無力症の当事者。OriHimeパイロットを経て、現在はIT企業でフルタイム勤務。
  • Kさん: クローン病の当事者。病気を開示し、理解のある職場で働き続けている。
  • Sさん: 企業の人事担当者。長年人事領域に従事し、障害者雇用にも深く関わっている。
  • Kさん: 株式会社オリィ研究所 取締役COO。分身ロボット「OriHime」や人材紹介サービス「フレミー」を通じて、難病の方の就労支援に取り組む。
  • 司会Sさん: 難病当事者への支援、情報提供、交流の場づくりなどを行っている。

当事者の声:病気と仕事の両立のリアル

重症筋無力症のYさんは、10年前に発症し、歩行困難となり退職を余儀なくされました。「当時は絶望し、社会との繋がりを断たれたように感じていました。」と当時を振り返ります。その後、オリィ研究所の分身ロボット「OriHime」パイロットとして働き始め、現在はIT企業でフルタイムのテレワーク勤務。「OriHime」との出会いが人生の転機となり、「働くことで自信を取り戻し、社会との繋がりを再び感じることができています。」と語ります。

クローン病のKさんは、18歳で発症し、社会人1年目から病気を抱えながら働き続けています。トイレの頻度や食事制限など、周囲に理解されにくい苦労を抱えてきました。コロナ渦での手術を機に病気を開示。「最初は不安でしたが、開示したことで職場環境が大きく改善しました。言えないことで感じていた孤独から解放され、今は心穏やかに働けています。」と、開示のメリットを強調しました。

二人の話から、難病の種類によって症状や困りごとは異なるものの、共通の課題として「周囲の理解不足」と「体調に合わせた柔軟な働き方の必要性」が挙げられることが分かりました。テレワークは、通勤の負担軽減、体調に合わせた休憩の取得、周囲の目を気にせず働ける安心感など、難病当事者にとって多くのメリットをもたらしています。

企業側の視点:合理的配慮の現状と課題

人事担当のSさんは、「企業にとって、合理的配慮は重要な課題です。しかし、法定雇用率の達成に意識が集中しすぎたり、社内制度の未整備、費用負担への懸念など、多くの企業が対応に苦慮しているのが現状です。」と指摘します。

一方で、「合理的配慮は、企業にとってデメリットばかりではありません。優秀な人材の確保、多様性のある職場環境の実現、企業イメージ向上など、多くのメリットがあります。柔軟な勤務形態の導入や、通院への配慮、業務内容の調整など、工夫次第で多くの合理的配慮は実現可能です。」と、企業側の意識改革の必要性を訴えました。

オリィ研究所の取り組み:テクノロジーと寄り添い

オリィ研究所のKさんは、「私たちは、分身ロボット『OriHime』や人材紹介サービス『フレミー』を通じて、難病の方の就労支援に取り組んでいます。『OriHime』は、物理的な距離を超えて社会参加を可能にし、『フレミー』は、企業と求職者のマッチングだけでなく、治療と仕事の両立に必要なサポートを提供しています。」と説明します。

「テレワークとギグワークを組み合わせることで、週1時間からでも働ける柔軟な働き方が実現できます。私たちは、企業への研修や相談支援などを通して、難病の方々が安心して働ける社会を目指しています。」と、今後の展望を語りました。

患者会の役割:寄り添い、孤独の解消

司会Sさんは、自身も患者会に所属し、難病当事者への支援活動を行っています。「難病当事者にとって、同じ病気を持つ仲間との繋がりや情報交換は、大きな支えとなります。私たちは、医療情報の提供だけでなく、交流会や相談窓口の設置などを通して、当事者の孤独の解消に努めています。孤独は、就労への意欲を阻害する大きな要因です。患者会は、安心して働ける環境づくりのためにも、重要な役割を担っています。」と強調しました。

まとめ

RDDおしごと2024座談会では、難病と就労の両立支援の最前線について、様々な立場から活発な意見交換が行われました。当事者のリアルな声、企業側の視点、そして支援サービスの現状を知ることで、より多くの人々がこの問題について理解を深め、共に解決策を探っていくきっかけとなることを願っています。

難病を抱えているからといって、働くことを諦める必要はありません。この記事が、難病当事者の方々にとって、希望の光となることを願っています。また、企業の皆様には、合理的配慮への理解と協力を改めてお願いしたいと存じます。

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